小さなお店の「アクセス」の問題
ワシが仕事でお世話になった方々にお送りしているニュースレターの「ワシ通信」は、透明の封筒に入れて郵便でお送りしています。
普通郵便では「全面が透明の封筒」を使うことが難しいため、片面だけが透明で、宛名面は半透明という封筒を使っています。
この封筒、コンビニや100キン、ホームセンターなどで手に入れることが難しいため、「パッケージプラザ」という、業務用の包装資材屋さんで買っています。
いまはアマゾンでも買えるようになったので、そちらで買うことも増えました。
お店は立地がすべて?
でも先日は封入時に封筒が足りないことに気がついたので、わざわざパッケージプラザに行ってきたんです。
このお店、交通量が多い道路に面したお店で、駐車場がお店の前に3台分しかなく、しかも前向きに駐車する以外にありません。
買い物を終えて車を出す時には、交通量が多い道路に対してバックで出る以外になく、不便きわまりないのです。
とくに便利な場所にあるわけでもなく、お店の「アクセス」という面で考えると、明らかに不便です。
だけど、長年営業を続けています。
ウチの近くには、コンビニタイプの100円ショップ「ローソン100」が2件あります。
ひとつは以前、ふつうのコンビニ「サンクス」だったお店。
もう一店は以前、ケーキショップだったお店。
どちらも「居抜き」という、以前のお店の外装や内装をできるだけリサイクル利用したお店です。
通常のコンビニと比べると、クルマの出し入れのしやすさや、駐車場の台数など、明らかに「アクセス」が不便です。
でも長らく営業を続けています。
払うコストと得られるメリットの差で行くかどうかが決まる
もし近所のコンビニで「半透明封筒」が買えるのであれば、多少高くても、「パッケージプラザ」ではなくて、コンビニで買います。
もし「コンビニタイプの100円ショップ」ではなくて「通常のコンビニ」だとしたら、他のコンビニに行きます。
不便さを差し引いてもあり余る「何か」があるから、そこに行くのです。
以前、アメブロが全盛期だった時代に
ブログを活用すればお店の立地など関係ない
という論調がありました。
アメブロ活用系の書籍にも、不便な場所にある飲食店でアメブロを活用して奮闘しているカフェの事例が取り上げられていました。
あの頃からワシは疑問に思っていたんですね。
ブログを活用していることは、お客さんに対して「不便さを差し引いてもあり余る何か」を提供していることになるのでしょうか。
実は数年前、アメブロでも有名だった「不便な場所にあるけどアメブロを活用してがんばっているカフェ」に、いつもお世話になっている税理士さんと行ってみたことがあるんですよ。
本当に不便でわかりにくい住宅街の中にありました。
カーナビを頼りにしても近所をグルグル回ったくらいです。
駐車場もなく、近くのコインパークに止めました。
名古屋市内では繁華街にあるお店は駐車場が無くても当たり前ですが、住宅地にあるお店は駐車場が確保してあるのが一般的です。
オススメのメニューを食べましたが、「ソコソコふつう」という印象でした。
「アメブロを活用して売れている」というウワサでしたが、ワシと税理士さんは「なぜ売れているのかわからないね」と話しをしながら帰ってきました。
その1年後、お店はなくなっていました。
立地が関係ないのではなく「他の何か」があること
さきほどの「パッケージプラザ」やローソン100と、カフェ。
その違いは何かと言うと
不便さを乗り越えてでも行くだけの意味や価値が感じられるかどうか
ですね。
経営の世界では、お客さんにとっての「手間」だとか「面倒くささ」も、コストとして捉えます。
不便なお店に行くお客さんは、余分なコストを払っている、という考え方です。
つまりそのコストを払って見合うだけのものがないと、お客さんはわざわざ不便なお店には来てくれない、ということですね。
たしかに「来店型ショップ」の場合、お店の立地はかなり大事な要素です。
でもお店にはそれ以外の要素もあります。
それは、商品、価格、サービス、経験価値、そして「立地以外のアクセス要素」です。
立地が不便であれば、そこでなくては買えないモノや、不便を押してでも行くべき何かが無いと、お店を維持することは難しいです。
先のカフェも、いったん有名になってお客さんが増えたのかもしれませんが、お客さんはお店に何度も何度も足を運んでもらわないと、「継続的な売上」にはつながらないのです。
「一度食べてみたから、もういいかな」
と思ってしまうメニューであれば、難しいですね。
立地が不便であれば、それ以外の要素を真剣に考える必要がありますね。