仕入れて売るだけが小売業?
お気に入りの「赤ボールペン」です。

カランダッシュ849
他社製のボールペン芯をムリヤリ入れていたために、芯のわずかなグラつきが気になっていましたが、セロハンテープで細工をしたら、しっかり安定して書けるようになりました。
面倒ではありますが、「ちょっとしたこと」ですね。
さて、今日の話題は、「仕入れて売っているだけだと、価格競争に巻き込まれる」というお話しです。
ここしばらく「メーカー既製のモノを仕入れて売る」という事業形態のかたと何人かお話ししていて、思い出したエピソードがあったんです。
なぜアマゾンで買えるモノをデパートで買ったのか?
さて、冒頭で紹介した「赤ボールペン」。
ペンと言えば、今年の4月に「ペン好き」が集まる「ペンカフェ」という座談会を開催しました。

2018年4月に開催した「ペンカフェ」のようす
このペンカフェに、50代男性のSさんが参加してくださいました。
お気に入りと言う万年筆を披露してくださったのと同時に、購入に至ったエピソードをお話ししてくださいました。
以下は、うろ覚えながら、Sさんがお話ししてくださった内容です。
自分の手に馴染む万年筆が欲しかったので、Sさんはプロがいる百貨店に赴きました。
予算と用途をお伝えすると、店員さんから
「1時間ほどお時間ありますか?」
と尋ねられました。その後、店員さんの言う通り、店員さんの目の前でなんども平仮名を書き、「書きグセ」を見てもらった上で、
「あなたにピッタリの万年筆はコレです」
とオススメしてもらいました。それは日本のブランドで、日本人の職人さんが日本語の文字や日本人のクセに合わせてペン先を研いだ逸品だそうです。
確かにSさんの要望通りである上に、「彼にとって(ここが大事)」最高の書き心地でした。
アマゾンで買えば最低でも2~3割は安く買えることは承知の上で、Sさんはよろこんでその場で定価(おそらく27,000円くらい)でその万年筆を買いました。
(残念ながらその万年筆の写真を撮り忘れていました。スミマセン)
モノ以外にあなたが提供できることは、何か?
さて、ここで質問です。
Sさんは、何にお金を払ったのでしょうか。
もちろん、万年筆という商品の代金として、お金を払ったのですね。
もう一歩踏み込んで考えてみてください。
彼は、アマゾンで買えば5,000円くらいは安く買えることを知っていたのです。
安く買えることを知っているのに5,000円高く買ったと言うことは、その5,000円と「何か」を交換したのです。
それが、「彼の文字のクセを丁寧に理解した上でベストの万年筆を選んでくれた」というサービスにお金を払ったと言えるわけですね。
これは、ご本人に自覚があったかどうかはわかりません。
でも「わざわざ」高いお店で買ったのは事実です。
ブランド品って、正規代理店で買うことができますが、ブランドディスカウントショップのようなお店もありますね。
正規代理店で買う人って、「わざわざ」高くても正規代理店で買うんですよね。
これってなぜでしょう?
何に対して、より多くのお金を払っているのでしょう?
- 正規代理店で買ったのだという誇りや満足感。
- そのブランドに対するリスペクトの表明。
- 店員さんやショップからもたらされるプロならではの情報。
- 商品に何か問題があった時の対応を期待する信頼性。
- 質の高い接客をはじめとしたサービス。
こういったものに対して「価値」を感じるからこそ、その代金として「プラスアルファのお金」を払うわけです。
当然のことながら、これらに価格相応の価値を感じない人は、安いお店で買います。
「高い」とは、差額で提供している「何か」があるということ
ワシの知り合いのある女性社長さんは、一目見て欲しいと思ったブルガリの時計を買うために20年以上も貯金し、わざわざローマ本店で買いました。
その後5年経っても、毎年ローマのブルガリ本店からクリスマスカードが届くらしいです。
「メーカー既製のモノを仕入れて売る」という商売のあなた。
自分の仕事は「仕入れたものを売ることだ」という認識でいませんか。
モノを売るだけであれば、ディスカウンターと勝負になりません。
なぜ、高いあなたのお店でわざわざ買う必要があるのか。
「余分にお金を払う意味や価値」は、どこにあるのか。
その「意味や価値」がなければ、お客さんは安いところで買うのが当然です。
意味や価値があるのなら、その意味や価値を、きちんとお客さんにお伝えしないとね。
わざわざ貯金までして高いお金を払って、あなたの商品を買う人は、どんな思いで来店するのでしょうか?
あなたの仕事に対してお金を払う「意味」や「価値」は、いったい何ですか?
- 万年筆を買った、「うつわ屋さん」の社長、須藤さん。
- 食器を売るだけではなく、選び方や収納法までお伝えしている「うつわ屋さん」です。
- 20年越しでブルガリを手に入れた「宮崎れもんケーキ」の社長、力武さん。
- 今ではご自身の商品「宮崎れもんケーキ」のブランド化に取り組んでいます。
おふたりとも経営者です。
きっと、自らの体験を、ご自身の経営に活かしているのだと確信します。
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