わかったつもり?わかりやすい伝え方
昨日、こちらの先生とZOOMで「朝活」をしていました。
この中で、「人のコミュニケーション力」についての話題になりました。
仕事相手をえらぶときに「コミュニケーション力」だとか「礼儀」だとか、大事だよねぇ。
というお話しになったんです。
「書類の差し出しかた」でコミュニケーション力がわかる?
このとき、ワシが思い出したのは、アートディレクターの佐藤可士和氏の「就職面接」の話題です。
佐藤可士和(さとう・かしわ)氏は、セブンイレブンやユニクロなど大手企業の広告戦略を手掛けるアートディレクターです。
彼の事務所でも、新人のデザイナーを採用することがあります。
デザイン事務所ですから、就職希望者は選考資料として「これまで自分が手掛けたデザイン」を書類で持ってきています。
「では、いままでの作品を見せていただきましょうか」
と面接官がお伝えしたときに、就職希望者がどのようにして書類を渡すか。
これで、コミュニケーション力がわかるそうです。
無造作に渡すのか、相手から見て書類が正面に見えるように向きを整えて渡すのか。
些細なことかもしれません。
でもワシはこの話を知った時、妙に納得できたんですよね。
「相手が受け取りやすいように渡す」のは、コミュニケーションの基本だからです。
デザインの仕事って、コミュニケーション力がとても大事です。
依頼者の意図を汲み取ったり、汲み取った依頼者の意図通りにデザインと言うツールを使って「伝える」のが、デザインの仕事だからです。
形や見た目(ビジュアル)にこだわって、コミュニケーションができない人は、いくら「美しいモノ」を作れたとしても、よいデザイナーとは言えませんね。
(実はそんなコミュニケーション力が欠如したデザイナーがたくさんいるのは嘆かわしい状態ですが)
これはデザインの世界だけに関わらず、文章でも「会話」でも、本質的には同じです。
何を言っているのかわからない人に仕事は頼まない
先のデザイン事務所だけではなく、多くの企業の「就職面接」では、なにげない質問をしているようでいて、実は相手のコミュニケーション力を試していることが多いんです。
人は、言動や「反応」というアウトプットを通じて、自分のコミュニケーション力を外部に表わしているんですね。
だから、ブログで発信する文章って、読み手からも厳しくコミュニケーション力をチェックされる材料になっている、ということです。
たくさん発信すれば効果が上がるからと言って、読んでもよくわからない文章ばかり書いていたら、仕事が来るようにはなりませんね。
わかってもらうために必要なのは「わかるとはなにか」を知ること
ウレシイことに、ワシのコンサルや塾を受けてくださったかたの多くは「わかりやすい」と言ってくださいます。
「わかりやすさ」については、人一倍、勉強しているつもりです。
この中でいちばん衝撃的だった本は、一番手前の「わかったつもり」というタイトルの本です。
実はこの本「伝える側」の本ではなくて、「受ける側」の本なんです。
よりよく読むための、より理解するための本です。
つまり「なぜあなたは、わからないのか」という本です。
小学校の教科書に出てくる文章が例文として出てくるのですが、そのあとの質問に応えてみると、いかに自分が理解できていなかったのかを知って、愕然としますよ。
小学生が読む文章でさえ「わかったつもり」になっていて、きちんと理解できていないのです。
この本では「読み手は、わかったつもりでいて、実はどれだけわかっていないか」が、よくわかるのです。
「読み手はなぜわからないのか」がわかれば、こちらも手の打ちようがある、ということですね。
伝える側としては「どうしたら伝わるか」ということばかり考えてしまいがちです。
だけどそれって「こちら目線」ですよね。
「あちら目線」で見ると「なぜわからないのか」という問題になります。
相手側の事情を理解することなく「伝えるためのテクニック」だけを学んでも、巧く伝わりそうにありませんよね。
まず「伝えられる側の気持ちや事情を理解する」ことが、巧く伝えられる近道なんじゃないでしょうかね。