お客さんは何を手掛かりにして買うのでしょう?
高校生の頃、「好きな音楽は?」と尋ねられて「クイーンです」と応えたら、よく引かれていました!
おそらく、当時「音楽好き」を自称している人たちにとっては、正統派ではなかったんでしょうねぇ。
クイーンのフレディ・マーキュリーと言えば、派手なマイクパフォーマンスや、奇抜な衣装でも知られています。
音楽を演奏する舞台の上で「パフォーマンス」がはじまったのは、ロックという音楽が誕生してからのことです。
それまでの音楽演奏というと、みな同じ揃いのスーツを着て「行儀よく」演奏するのが普通でした。
初期のビートルズも、みな同じスーツを着ていますね。
だけど、ロック誕生以後、メンバーはみな思い思いの、普段着のような格好でステージに登場し始めました。
ナンじゃこれは?
と「正統派」のひとたちは、認めなかったでしょうねぇ。
だけど、先進的な人たちは、気がついていたんですねぇ。
音楽以外の要素も、その音楽がどんなものであるかをあらわしているんだ。
ってことを。
商品以外の「その商品がどんなものであるかをあらわしているもの」とは
これって、ビジネスでもとても重要なことなんですよ。
商品以外の、「その商品がどんなものであるのかをあらわしているもの」とは?
サービス以外の「そのサービスがどんなものであるのかをあらわしているもの」とは?
たとえば商品が入っている箱。商品名。色。
たとえばサービスを提供するお店の外観、店員さんの服装。店名。
これらはすべて、お客さんが
この商品を買うか?このお店に入るか?
ということを判断する材料になっている、ということなのです。
自分の好きなようにやればいい、ホントに?
さきほどの、ロックの先駆けとなったローリングストーンズ(以下「ストーンズ」)というグループは、GパンやTシャツなど、みな思い思いの、自由な服装で登場しました。
「優等生のビートルズ」に対して、「ワイルドで不良のストーンズ」というイメージで売り出したのです。
だけど、大事なのはここからです。
これ、ローリングストーンズのメンバーが自分たちの好みではじめたことではなくて、プロデューサーの「狙い」だったんですねぇ。
ストーンズのメンバーは当初、「汚い恰好」「下品な格好」で活動するのを嫌がっていたくらいなのです。
つまり「彼らの好みで」あのような格好をしていたわけではなくて、意識的に、売れるために、あのような格好をしていた、ということなのです。
ビートルズという、強力な先行者が存在する中で、違いを明らかにしなくては、という意図があったんでしょうね。
結果的に、メンバーが思い思いの格好をすることが「ロックの定番」になっていきました。

1968年の発売当初は「ジャケット写真が下品だ」として発売できなかった、ストーンズのアルバム。
いま見ると、どうってことない。
つまり「狙い」が先にあって、その狙いに「イメージ」を合わせていくことが大事、ってことです。
個人事業の人たちは、「自分がスキかどうか」という基準で、お店の名前から外観、商品名などを作ることが多いです。
多くの場合、それがお店や会社の方向性と合っているので、問題が起きません。
だけど「自分の思い入れ」が大きすぎると、「それがお客さんに対して、どのように伝わるか」ということを、忘れてしまいがちです。
どうするのか、どうしたいのか、っていう「狙い」が先、ってことだけ、覚えておいてくださいね。