個人事業主も事業計画書を作ったほうがいい理由
結論を先にお伝えすると、個人事業主やフリーランスも、事業計画書を作ることをオススメします。その理由についてお伝えしていきます。
事業計画書を作った人のほうが、業績が伸びる傾向があると、統計でも示されているからです。
- 個人事業主やフリーランスも事業計画書を作ったほうがいい理由
- 事業計画書の作成作業とは、具体的に何をすることなのか
- 個人事業主やフリーランスが自分で事業計画書を書くのが難しい理由
- フリーランスや個人事業主の事業計画書づくりをお手伝いするサービスについて
個人事業から最大スタッフ10人程度までのスモールビジネス専門のコンサルタントです。
自治体(県や市)、商工会議所などの経営相談員やセミナー講師も務めています。
このページの内容
なぜ、個人事業主やフリーランスであっても事業計画書を作ったほうがいいのか
最初に大事な事実をお伝えします。
「事業計画書を作ったことがある個人事業主」と「事業計画書を作ったことがない個人事業主」では、「売上が増えているかどうか」に大きく差が出ています。
中小企業庁が毎年刊行している「中小企業白書/小規模企業白書」の平成24年版に掲載されていた統計データから見えてくる、
「事業計画書を作ったことがあるかどうかによって、個人事業主の売上に違いはあるのか」という調査について見てみます。
事業計画書を作ったことがある個人事業主は、売上が伸びている傾向がある
フリーランスや個人事業主の半数近くは事業計画書を作ったことがないという統計が出ています。(平成24年度中小企業白書/中小企業庁)
その一方で、事業計画書を作ったことがある個人事業主は、作ったことがない個人事業主に比べて「売上が増えている」と答えた人が68.3%も多いんです。
同じ資料によると、事業計画書を作った個人事業主やフリーランスの73.8%もの人が、その効果として「経営方針と目標が明確になった」と答えています。
事業計画書を作ることにより「自分がやるべきこと、取り組むべきこと」がハッキリして、ブレずに集中できるから、業績が伸びると考えることができますね。
これが、フリーランスや個人事業主でも事業計画書を作る最大のメリットです。
個人事業主とはいえ、事業計画書を作って計画的に経営を進めることによって、業績アップに効果があると認められているのです。
なぜ個人事業主の多くは事業計画書を作らないのか
実際に、個人事業主やフリーランス(非法人)でも、43.9%の人は、事業計画書(または経営計画など)を作ったことがある、という統計が出ています。
ということは、事業計画書を作ったことがない個人事業主やフリーランスが半数を上回っています。
個人事業主やフリーランス、小さな会社の経営者の方とお話しをしていると
という基本的な質問のほかに、
- 事業計画書、経営計画は作らなきゃいけないと思うんだけど、どのように作っていいのかわからない。
- 事業計画書に何を書けばいいのかわからない。
- たとえ事業計画書を作ったとしても「これでいいのか」が自分で判断できない。
というお声をよく耳にします。
実際に事業計画書を作った個人事業主へのアンケートとして、「誰かの手助けを借りなくても作れたと思う」と答えた人は、全体の13%しかいませんでした。
誰かの客観的な指摘があったほうが、偏見や思い込みの少ない、中立的な事業計画書を作ることができます。
個人事業主が事業計画書を作る目的は?何のために作るのか
もしろん事業計画書は「そのとおりにいくこと」を目指して作ります。
個人事業主が事業計画書をつくる本当の目的。それは、目標を達成するために自分は何をするべきなのかを明らかにすることです。
だけど経営目標だけだと、その目標を達成するために具体的に何をするのかが、明確になっていませんよね。
この「経営目標を達成するために、具体的に何をしなくてはいけないのか」を実現可能な範囲で考えていく作業が「事業計画を作る」ということなのです。
個人事業主が事業計画書を作る意味
- 事業計画書という「書面の作成」が大事なのではなく「事業計画書を作る際にどうしても考えなくてはいけないこと」が大事。
- 事業計画書を作る過程で「目標を設定するために何をしなくてはいけないのか」を現実的な範囲で具体的に考えることで目標が達成できる可能性が高まる。
個人事業主が事業計画書を作るメリット
ここまでの統計資料からは、「個人事業主やフリーランスでも事業計画書を作ったほうが成果が上がりやすい」ことが見えてきました。
ここからは、実際の現場から見た「個人事業主でも事業計画書を作ったほうがよいメリット」と、その落とし穴について考えてみます。
事業計画書を作ると自分の事業の全体像が明らかになる
と考えている個人事業主やフリーランスが多い中で、実際に事業計画書を作ってみると
- 意外と自分は業界のことを知らない。
- 以外と自分はお客さんのことを知らない。
ということが明らかになります。また
- どんな相手と、どのような取引が、どれくらいあるのか。
- どんなお客さんが、どれくらいの割合でいるのか。
という基本的な「現在のビジネスの状況」を書面化していくにあたって、「現状の自分のビジネスの本当の姿」が明らかになります。
どこを目指すべきなのかを改めて考える機会になる
小さなビジネスを営んでいる個人事業主やフリーランスは、日々の仕事に追われて「何のために、どこを目指しているのか」ということを見失いがちです。
事業計画書を作る作業とは、単なる「書面づくり」ではなくて、「将来にわたって自分は何をして行くのか」を考える作業にほかなりません。
場合によっては事業計画書を作っていく過程で「今やっていることは、本当に妥当なことなのか?」と疑うような場面に出くわすかもしれません。
事業計画書づくりとは、書面を作りながら、自分のビジネスを再構築していくための作業なのです。
事業計画書を作ると具体的に「自分は何をやるのか」が明確になる
計画とは、この先に向かって何を実現させるのか、そのために何をして行くのかを明らかにする作業です。
これまで、ただ漫然と目の前の仕事を片付けているだけのビジネスは、計画的だとは言えません。
事業計画書を作り上げていくことによって、いつまでに、自分は何を実現するのか。
そのために何をして行くのか、という見通しが明らかになります。
事業計画書を作ると自分が決めたことにコミットできる
当たり前の話ではありますが、経営者が自分で作る事業計画書は、誰かから押し付けられるものではありません。
経営者にとっての事業計画とは上から与えられるものではなく、自分で「自分はこうする」と決めることなのです。
人から与えらるものであれば「納得が行かない」ということもあるでしょう。
だけど、経営者による事業計画書づくりとは自分で決めることなので、それは100%、自分自身の責任によるものです。
個人事業主やフリーランスが事業計画書を作る作業とは、自分が決めたことにコミットする。つまり「責任のある約束」を自分に誓う作業なのです。
だから絶対に達成するのだ
という、日々の自分の活力の源になります。
個人事業主が自力で事業計画書を作るのが難しい理由
「事業計画書の書き方」といった本やセミナーはたくさんありますが、それらを読んだり受講したことで「自分で作った」という人は何人いるのでしょうか?
実際にセミナー講師をしているワシの立場から見ても、実際に事業計画書を作って活用している人の例はそんなに多くはありません。
多くの個人事業主やフリーランスを含む経営者が事業計画書を完成させることができない理由について分析してみました。
事業計画書の書き方がわからない
事業計画書とはそもそも書面が必要で、どのように制作を進めればいいのかわからない。
「見たことがないものを自分で作る」のは確かに難しいです。
自分の事業の現状を客観的に把握することができない
事業計画書の中では「現在の事業の分析」が必要です。
でも「自分の事業」は、経営者自身にとっては特別な存在のため、客観的な視点で分析できる経営者さんは少ないようです。
自分の事業方針を自分で選択することができない
事業計画書では、「自分の事業はどちらの方向に向かっていくのか」を明確にするための書面です。
ここで「迷い」が発生してしまい、「AとB、どちらに力を注げばいいのか」と悩んだまま、事業計画が完成しない、というケースがあります。
「迷いを抱えたまま」だと、明確な事業計画書を作ることはできません。
もし作ることができたとしても、計画そのものが「あいまいなもの」になってしまいます。
個人事業主やフリーランスだけでなく、経営者が自分で事業計画書を作ることができないもっとも大きな原因は「決められない、選択できない」点にあると感じています。
「自分は何をするのか」を自分で決められない
さきほど、事業計画書を作るメリットとして
とお伝えしました。
これは「自分は何をやるのかが自動的に明らかになる」という意味ではありません。
事業計画書の作成を通して、「自分は何をやるのか」を自分で決める、ということなのです。
「夏休みの計画」が守れなかったように、「自分の行動を自分で事前に決め、その通りに行動する」ことが苦手な経営者さんが多いのです。
事業計画書のとおりに実行できないから作っても意味がない?
とくに個人事業主の方には「事業計画書なんて作っても意味がない」と考えている人が多いですね。
- 個人事業主にとって事業計画書を作ることそのものが大事
- 事業計画書に沿って実行しようとすることが大事
なのです。
なかなか事業計画書どおりに行かないことは、事実です。
でもそれは「だから事業計画書を作っても意味がない」という理由にはなりません。
もし、事業計画書どおりに実行できなかったとしても、
- 事業計画書どおりに行かなかった原因は何か
- どうすれば事業計画書どおりに進められるのか
を振り返り、くりかえして行くこと自体に意味があるのです。
上記の「自分で事業計画書が作れない理由」の中で「事業計画書のつくり方を知らない」という理由は「知らないから作れない」だけです。
そのため、知ることさえできれば解消できます。
それ以外の理由を見ると「自分のことだからこそわからない、できない」という要因が大きいようです。
事業計画書さえ作れば個人事業主の売上は伸びるのか?
ここまで見てきたように、フリーランスや個人事業でも、事業計画書を作ることによってさまざまな「よいこと」が期待できることがわかります。
しかし「個人事業主でも、事業計画書を作りさえすれば売上が伸びる」という単純な話ではありません。
作るだけではなく
確認、実行、調整、フィードバック
をしていくことによって、「計画」は「現実」に近づいていくのです。
毎日のように事業計画書を見直しながら、実行していくことが大事になります。
事業計画書を作った個人事業主の多くは
とおっしゃいます。
この点検作業が、仕事のパフォーマンスアップにつながるんですね。
個人事業主の事業計画書づくりをお手伝いします。
真剣にビジネスに取り組んでいる人から、
という声を聴くことが多いです。
そこで、このブログ記事を書いているスモールビジネスコンサルタントの高橋浩士が、個人やフリーランスのかたに向けた「事業計画書づくりのお手伝い」を提供しています。
答えるだけで事業計画書
インタビューに答えていただいた内容を元に、事業計画書の作成を代行するサービスです。
事業計画書は「最初の完成」さえしてしまえば、次からは「アップデートの繰り返し」で済むわけです。
そのため、「最初の事業計画書」がいちばん苦労します。
事業計画書作成支援サービスの詳しい内容のご確認とお申し込みは、こちらからご覧いただくことができます。
そのため、インタビューに応えていただいた内容を元に、専門家が事業計画書の作成を代行するサービスが「答えるだけで事業計画書」です。
まとめ:自分が進むべき地図を自分で描こう
事業計画書とは、自分が進むべき「地図とコンパス」です。
地図を持たずにさまよい続ければ、目的地から遠ざかっていても気づきません。
「地図を持たない」ということは、目的地がどこにあるのかさえ、わからないということなのです。
「事業計画書を作ったことがある人は成果が出やすい」という統計は、
事業計画書という地図とコンパスを手にした人は、目的地にはやくたどり着くことができる。
という意味だと捉えることができます。
自分が進むべき道を示した地図を、自分自身の手で描く。
って、なんだかワクワクしませんか。
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