個人事業主の差別化戦略【小さくても選ばれる理由を作る】
「選ばれる理由」つまり「差別化要因」をいかにして作り上げていくか。
これは個人事業主から大企業まで共通した課題ですね。
どうすれば「選ばれる理由」を作ることができるのかについて考えてみます。
- 選ばれる理由の前に考えておきたいこと
- 選ばれる理由になる「意味のある差別化」とは
- 技術や品質で勝てなくても選ばれる「水平的差別化」とは
自治体(県や市)、商工会議所などの経営相談員やセミナー講師の委託も受けていますので、あるていど安心していただけるかと思います。
このページの内容
選ばれる理由を作るまえに考えておきたいこと
「自分が選ばれるための理由」よりも前に、考えてみたいことがあります。
それは「自分自身はどんな理由で選んでいるのか」です。
あなたも、消費者やサービスの利用者として買い物をしたり、サービスを購入したりしていますよね。
このときあなたは、何を基準にして選んでいるのでしょう?
自分が消費者の立場であるときには見えるはずの「選ぶ」基準が、「選ばれる」という立場になった途端に見えなくってしまうものです。
まずは、「自分も消費者であること」を自覚して、商品やサービスを選ぶ際に
と自問してみてください。
それだけでも、大きなヒントが得られるかもしれませんよ。
選ばれる存在になるための前提条件「選択肢の中に入る」
実は「選ばれるための理由」を作るまえに、半分以上の勝負は決まってしまっています。
どれだけ優れた商品や「選ばれるための理由」を持っているサービスを持っていても、お客さんの「選択肢」の中に入っていなくては、選ばれる可能性はほぼ0%だということです。
スーパーの棚に並んでいるジャムを選ぶとき、「棚に並んでいないブランドのジャム」がいくらおいしかったとしても、選ばれることはありません。
それでも
と思ってくれるお客さんがいてくれたとしたら、あるいはスーパーでは買わずに、スマホで検索してくれるかもしれません。
このとき、スマホで検索しても見つからなかったとしたら、その「おいしいという評判のジャム」が選ばれる可能性は、ほぼゼロにまで落ちます。
お客さんに存在を知ってもらい「選択肢の中に入る」「見つけてもらえる」ことは、選ばれるためのスタートラインとも言えます。
自分の商品を選んでもらうには「差別化」
「差別化」というコトバを使うと目くじらを立てる人もいますね。
「差別化ではなくて独自化だ」
だとか、いろんな議論がありますがどちらのコトバを使うかなんて、どっちだっていいです。
大事なことは「お客さんに選んでもらうにはどうするか」ということです。
ここでコトバ選びの論争をしているようでは、ほんとうに大事なことを見逃してしまいます。
さて、どのように選んでもらうのか、というお話しです。
大事なのは、「選ばれる理由」となるような差別化とは
- ほかと違っていればよい
- 独自性があればよい
ということではなくて、お客さんにとって意味がある違いである必要がある。
さらに言うと、「余分にお金を払ってもいい」と思えるような違いである必要がある、ってことですね。
垂直的差別化よりも水平的差別化で選ばれる存在になる
差別化には「垂直的差別化」と「水平的差別化」がある。
という説を、ご存知ですか。
スマホで考えてみます。
- メモリやバッテリの容量は、誰だって多いほうがイイですよね。
- 処理速度は、誰だって速いほうがイイですよね。
- 重さも、できるだけ軽いほうがいいですよね。
AとBの商品があって、他の条件は同じでAのほうが軽いのだとしたら、ほとんどの人はAを選ぶはずです。
スペック(性能)に代表されるように、「違いがあるのなら絶対にこちらのほうがイイ」というような「違い」を、垂直的差別化といいます。
だけど、デザインや色となると、「私は落ち着いた黒がイイ」という人がいる一方で、「私はカワイイからピンクがいい」という人が現れますね。
こういった
この「水平的差別化」の要素を、できるだけたくさん持つと、価格や性能による勝負に巻き込まれずに済むわけです。
裏を返せば、次のように言うこともできます。
垂直的な差別化要因だけで勝負しようと思うと、最高の品質、最高の技術力をもっていないと、勝負にならない、ってことです。
つまり、大企業や先行者の圧勝、ってことです。
選ばれる存在になりたいなら、勝負を水平的差別化に持ちこめ!
「垂直的差別化」も、組み合わせることによって「水平的差別化」に換えることができます。
たとえば、誰だってバッテリは大容量のほうがいいし、画面が大画面のほうがイイですね。
だけど、これを実現しようと思うと、スマホは大きく、重くなりますね。
「大きいほうがイイか、小さいほうがイイか」となると、これは人によって違いますから「水平」ですね。
だから、画面やバッテリも、重さや大きさという「組み合わせ」によって、「必ずしもどちらがイイとは言い切れない」という状態に持ち込むことができるわけです。
- 画面が大きくて見やすい。
- 画面が小さくて持ちやすい。
どちらがよいとは言い切れないので、これは水平的な差別化になります。
小さな会社だけではなく、業界の後発だとか技術力で劣る場合には、できるだけ「水平的差別化」を目指すことです。
自分のサービスに置き換えてみよう
フリーランスやスモールビジネスの人は「垂直的差別化」で悩んでいる人が多いです。
つまり「技術や知識が足りない」ということです。
お客さんから見たらその分野の専門知識が足りない人よりも、より詳しい人のほうが良いに決まっていますよね。
これって「垂直的」だってことに気がつきましたか?
たとえば受付や予約をわかりやすくして、お客さんの手間をできるだけ簡単にする。
お客さんの都合に合わせて、提供するボリューム(時間や作業量)を調整する。
このように「組み合わせ」によって、たんに技術力や知識量だけではない「水平的差別化」に持ち込むことが可能です。
「選ばれる理由」をカンタンに作るには「サービス的要素」を追加する
あるデザイナーさんは、お客さんから注文を受けた名刺をお届けする際、プレゼント包装をして、中にメッセージカードも添えるなどして、本当に
「プレゼントとして」納品しているそうです。
これがとてもお客さんの評判がよいのだとか。
もちろん、そのようなアイデアを思いつくようなデザイナーさんですから、ほかにも「お客さんに喜んでもらうための工夫」をたくさんしています。
これって、このデザイナーさんが売っている「名刺デザインそのもの」とは、直接関係のない部分ですよね。
実は、この部分に「選ばれる理由」が隠れていることが多いのです。
どうしても、業界のプロになると「プロとしての技量を高めて、品質や技術で選ばれる存在になろう」とします。
もちろん、このこと自体は間違いではありませんが、「垂直」になりやすい、という点に注意が必要です。
自分が扱っている商品やサービス以外の部分で「どのようにしたら喜んでもらえるか」を工夫すると、あなた独自の「選ばれる理由」を作り上げられるかもしれません。
もっとも水平的な差別化は「人間」
もっと簡単に「水平的差別化」することは可能です。
それが
「サービスを提供する人の人間性を出す」
ってことです。

日ごろからブログにも「ワシ」が登場するのは、そんな理由からです。
人間って、いちがいに
「誰にでも好かれる、誰にでも嫌われる」
というものではありません。
モテる人とそうでない人がいるのは確かですが、スマホの「バッテリ容量」のように、圧倒的な差が出ないのです。
「人によって好き嫌いがまちまち」なのです。
つまりこれほど「水平的なもの」ってないわけですよ。
圧倒的な技術力や資金力で勝負できないのであれば「水平的な差別化」ができないのか、考えてみること。
それにはデザイン性などの「好みがわかれるもの」、「組み合わせ」それから「人間性」という、「人によって好みが違う」部分で差別していくこと。
です。
ワシが日ごろから「自分を出して行こう」と言っているのは、「あなたという人間」がいちばん勝負しやすい、「ほかとはもっとも違う」部分だからです。
まとめ:選ばれる理由は「お客さんの目線に立った水平的な差別化」
ここまで見たように、技術的に劣っていても、水平的な差別化や、サービス的な要素によって「選ばれる存在」になることはじゅうぶんに可能です。
実際に、技術や品質で業界ナンバーワンでなくても「選ばれている人」「選ばれている会社」ってたくさんありますよね。
いちばんのヒントは、「実際に選ばれている人たち」にあります。
ただたんに「才能があるからだ」「技術が高いからだ」と短絡的に捉えるのではなく
と、真剣に観察してみてくださいね。
スモールビジネス戦略の基本的な考え方については、こちらにまとめてありますので、よかったらご覧ください。
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