中小企業がイノベーションを起こすには【小さな会社の経営改善】
そもそも中小企業にとってイノベーションは必要ですか?
経営者にとって、イノベーションというキーワードは近年ますます耳にする言葉ではないでしょうか?
そもそも中小企業経営者がイノベーションを理解する必要があるのか?何の役に立つのか?どうすればいいのか?
についてお伝えしていくブログ記事です。
- イノベーションとは何か?
- イノベーションは中小企業にどんなメリットがあるのか?
- リソースの少ない中小企業はどのようにしてイノベーションを起こすのか?
個人事業から最大スタッフ50人程度までのスモールビジネス専門のコンサルタントです。
自治体(県や市)、商工会議所などの経営相談員やセミナー講師も務めています。
中小企業の「新規事業開発」の支援を通じてイノベーションの現場を多く見ています。
このページの内容
イノベーションとは何か?
イノベーションとは、新しいアイディアや方法を取り入れ、社内のしくみや事業、製品、サービスを改善し、成長を遂げる取り組みのことです。
「新しい価値を提供するための新しい取り組み」と言えます。
何も「世界初、業界初」という必要はなく、自社にとって新しい取り組みであればそれはイノベーションだと言えます。
中小企業にとってイノベーションは必要か?
これは「イノベーションがなかった場合」のことを考えれば明らかになります。
- 何十年も前からずっと同じ商品だけを作り続けている。
- 商品やサービスは旧来からずっと同じ製造方法、提供方法である。
- お客さんや世の中が変化しているのに対応できていない。
- いまでも伝票と電卓で帳簿を作成している。
- FAXや電話でのやりとりが主体で「以前の取引情報」を探し出すために時間がかかる。
- 社員の活動が把握できておらず管理が行き届いていない。
このような中小企業は現実にたくさん存在します。
イノベーションとは「新しいやり方を取り入れていくこと」ですからイノベーションがない状態とは、進歩がない状態/変化しない状態です。
時代や世の中が変化しているのに、自社が変化していなければ、時代に取り残され、生き延びることが難しくなりますね。
中小企業とイノベーション
日々の業務に追われる中小企業経営者の経営者や従業員にとって、「イノベーションなんて先端企業や大企業のことだ」と感じてしまうかもしれません。
なぜ中小企業にとってイノベーションに取り組むことが重要なのか?について理由を探っていきましょう。
変化に乗り遅れる危険と挑戦
経営の環境は変化しています。
このことは大企業であっても中小企業であっても、この事実は同じです。
新しいテクノロジー、消費者の期待値の変化、競合他社の台頭などによって、経営の環境は変化します。
中小企業がこれに対応せずに従来のやり方に固執すれば、市場から取り残される危険性があります。
「時代の変化に対応するために何かをすること」はイノベーションなのです。
イノベーションが中小企業にもたらすメリット
イノベーションは様々なメリットをもたらします。これはコスト削減や生産性向上だけでなく、企業全体の柔軟性を高め、市場での差別化を促進する要素でもあります。
小さな時代の変化が大きなビジネスチャンスや成果につながることがあり、それが中小企業の生き残りや成長につながります。
イノベーションによって期待できるメリットの例
- コスト削減
- 生産性アップ
- 納期短縮/スピードアップ
- 品質アップ
- 新規市場開拓
- 新商品開発
- 新規事業開発
- 人材育成/人材活用
- エリア拡大
- 他業種進出
イノベーションとリソースの制約
中小企業はリソースが大きく制限されていることが一般的です。
逆にこの状況こそがイノベーション育み出すチャンスでもあると言われています。
という危機感が「何か新しいことをしなくては」という柔軟性や創造力につながります。
イノベーションがないと中小企業はどうなるのか
もし中小企業がイノベーションを意識しなかったとしたら、どのような問題が起きるでしょうか。
市場の変化への適応の遅れ
技術や顧客が急速に変化する現代のビジネス環境では、「今まで通りのやりかた」をしているだけでは競合他社に抜かれてしまいます。
近年の日本では、業界そのものの対応が遅れることで、市場がまるごと外国企業に奪われてしまう例も見られるようになりました。
イノベーションを起こさなければ、いずれ他の企業に取って代わられる、ということです。
既存ビジネスモデルの収益力の悪化
イノベーションに無関心な起業は新しいビジネスモデルや顧客ニーズの変化に適応できないため、既存のビジネスモデルが時代に合わなくなります。
新たな顧客ニーズに対応した新たな競合が現れ、お客さんが移動してしまいます。
古いビジネスモデルにこだわり続けると、売上や収益が低下し、既存事業の持続が危うくなります。
競争力ダウン
たとえ地域や業界のトップを走っている企業であっても、イノベーションがない状態では、競争力を保つことが難しくなります。
競合他社は、必死に新しいアイディアを試したり、新技術を採用して追いつき追い越そうとするからです。
競争相手がいる以上、競争相手と同じスピードで走り続けてようやく順位を保つことができます。
人材のモチベーション低下
イノベーションに無関心な企業は徐々に「古い体質の企業」と世間からは見られるようになります。
すると就職希望者にとっては「魅力のない職場」に映り、採用活動が難しくなります。
従業員が新しいアイデアを出しにくい環境では、モチベーションが低下してクリエイティブな発想が生まれにくくなります。
次に、中小企業向けの手軽なイノベーション手法について掘り下げていきましょう。
中小企業向けのイノベーション手法
中小企業が持続的な成長を遂げるためには、効果的なイノベーション手法を取り入れることが不可欠です。以下に、中小企業向けの具体的なイノベーション手法をご紹介いたします。
社内のコミュニケーション量を増やす
「風通しの悪い組織」はたいていコミュニケーションが少ないです。
部門同士の仲が悪かったり、経営者の一族が仲たがいをしていることが多いです。
経営者はまず危機意識を持ったメンバーだけでもよいので集め、業界情報の交換などコミュニケーション量を増やすことから始めます。
顧客中心主義のチームを作る
「今の状況を何とかしなくてはいけない」という問題解決のためのアプローチとして「顧客体験」(お客さんが感じていること)を中心に据えています。
この手法を導入することで、中小企業はより柔軟で効果的な問題解決が可能になります。
経営者は、率先的にイノベーションに関わり、「今イノベーションチームで何が起きているのか」を把握して「人任せ」にしないように注意します。
顧客コミュニケーションの促進とフィードバック
イノベーションとは時代の変化に対応した新たな活動なのですから、「時代の変化」を読み解くために市場(お客さん)との密接な関係を築くことが大事です。
経営者やイノベーションチームはふだん顧客と接触している営業部門と積極的に情報交換し「お客さんに言われたこと、相談されたこと」をこまめに収集します。
得られた顧客フィードバックを分析し、製品やサービスの改善点を見つけます。
中小企業はリアルタイムでの改善が可能なため、市場の変化に迅速に対応できます。
パートナーシップとネットワーキング
自社だけでは対応不可能な要件も、他社と連携すると可能になるかもしれません。
他の企業や組織とのパートナーシップは、中小企業にとって大きな利点となります。
共同でプロジェクトを進め、知識やリソースを共有することで、イノベーションの幅が広がります。
ネットで検索したり、SNSを通じて、積極的に他社に接触しましょう。
業界ネットワークの構築
業界内のネットワーキングは、新しいアイディアやビジネスの機会を発見する手助けとなります。
ただし、旧来型の地域同業者組合などのコミュニティは、組織全体が古い体質を持っていて、イノベーションが起きにくい環境であることも多いです。
そこで改革意識の高い若手経営者や意欲的な経営者だけで「第二のコミュニティ」を作ってはどうでしょう。
ある程度の結束ができれば旧来型のコミュニティの影響力に匹敵する市場での存在感を持つこともできます。
リソースが少ない中小企業のための実践的なアプローチ
中小企業が成長し、競争力を高めるためには、限られたリソースを最大限に活用する実践的なアプローチが求められます。以下に、リソースが少ない中小企業に適した手法をご紹介いたします。
スモールステップイノベーション
中小企業は大胆なアクションを起こすのではなく、小さな変更から始めます。
製品やサービス、業務プロセスに対して小規模な改良を加え、効果を検証します。
これは「お金と時間をかけたのに効果が出ない」という失敗を避ける上で、とても重要な視点です。
数字を意識する
顧客データや市場トレンドを分析し、得られた情報を基に製品やサービスを着実に進化させます。
「どうなれば改善したことになるのか」を計測するための指標を決定することが大事です。
データ駆動のアプローチで、有効な改善を実現します。
カスタマイズされたマーケティング
広範なターゲットではなく、特定の顧客セグメントを絞り込むことで、限られたリソースでの成果を狙います。
特定の需要に焦点を当てることで、リソースの浪費を防ぎます。
プロセスの最適化と効率化
今の仕事のやりかた(プロセス)を見直すことで、時間やお金を浮かせることができます。
プロセスを見直すための手順についてお伝えします。
現行プロセスの評価と改善
まずは「今どのように仕事をしているのか」をすべて図(業務フロー)に表します。
図にするだけでも「二重の報告」や「集約して簡単にできる活動」「形骸化した活動」などが見えてきます。
低コストで導入できる技術を活用し、業務プロセスを効率的に運営します。
クラウドサービスや自動化ツールの活用により、生産性を向上させます。
社内でのプロセスの公開と相互理解
社内でも「他部門が何をしているのか知らない」という企業が多いです。
図化した社内プロセスを公開したり、定期的な部門横断のミーティングを開いたりして、部門間の相互理解を深めます。
すると他部門からの意見や指摘によって、新たな改善点が見つかることも増えてきます。
イノベーションを奨励する文化の醸成
社内のメンバーが「自分がこんなことを言ったって」と、意見することを遠慮するような企業文化があると、イノベーションは起きにくくなります。
積極的に意見が言える雰囲気、たとえトンチンカンなことを言ってもバカにされない、意見した者は評価されるという企業文化を作ることは大事です。
そのためには社長が積極的に推奨するだけでなく「社長自身が意見してやってみる」そして場合によっては「社長が失敗した事例すら社内に公開する」といった思い切った取り組みが必要です。
イノベーションの成果を最大化するためのポイント
中小企業が取り組むイノベーションの成果を最大化するためには、成果を的確に評価し、失敗から学ぶ姿勢を持つことが重要です。以下に、これらのポイントに焦点を当ててご紹介いたします。
成果を評価する方法
中小企業が実践するイノベーションにおいて、成果の評価は成功への鍵となります。
以下のステップを踏むことで、成果を的確に評価し、次なる戦略に活かすことが可能です。
目標設定と評価基準の明確化
まず、イノベーションの目標を具体的に明確に設定します。
その上で、これらの目標を評価するための基準を設けます。
数値された目標で、後から計測できることが大事です。
成果を数値化しやすい形で定義することで、評価がより客観的かつ具体的になります。
数値化されたイノベーション目標の例
- 新商品企画の発案数
- 年間の新商品の発売数
- 顧客への新規提案数
- 業務時間の短縮割合
- セールス活動時間に対する受注量
定期的なモニタリングとフィードバック
成果を定期的にモニタリングし、進捗状況を評価します。
同時に、ステークホルダー(銀行など)や関係者(取引先)からのフィードバックを取り入れ、改善の余地があれば対応していきます。
成果が現れない場合には個別の改善活動そのものを中止したり、新商品からの撤退、路線変更することもあります。
この場合の撤退ラインをあらかじめ決めておくことも大事です。
失敗から学ぶ姿勢
イノベーションでは「これまでやったことがないこと」に取り組むわけですから、失敗は避けられません。
その失敗から学び、改善点を見つけることが、次なる挑戦に繋げる重要なステップです。
失敗をタブー視しない文化の構築
経営者は「失敗した人が非難されたり嘲笑される社内ムード」だけは作らないように注意します。
中小企業は、失敗を恐れずにオープンに受け入れる文化を築くことが不可欠です。
社員が自由にアイディアを出し、失敗を恐れずに実践できる環境を整備します。
そのためには実際に社長が声を上げてチャレンジを奨励するムードを作り上げる必要があります。
失敗を隠さず、学びを共有
失敗は隠したくなるものですが、それによって「せっかく失敗によって学んだこと」が社内で共有されなくなってしまいます。
失敗から学んだ知見は、組織全体で共有することで会社の財産になります。
他のプロジェクトやイノベーションにおいて同じ失敗を繰り返さないよう、経験則や教訓を広く共有し、知識の蓄積と成長を促進します。
これらのポイントを中小企業のイノベーションに取り入れることで、成果を最大化し、失敗から学ぶ姿勢を通じて持続的な発展を達成することができます。
まとめ:中小企業がイノベーションによって生き残るために
中小企業が生き延び未来を切り開くために、イノベーションは不可欠です。
これまでの記事のポイントを踏まえつつ、中小企業がイノベーションを実践することの重要性について総括します。
イノベーションがなければ生き残れない
中小企業は限られたリソースを有効に活用し、柔軟かつ効率的にビジネスを展開する力を持っています。
イノベーションはその中での成長の鍵であり、未来への挑戦においてもっとも力強い味方です。
イノベーションへの第一歩
イノベーションへの第一歩は、変化への積極的な姿勢から始まります。
小さなステップから始め、データを元に柔軟に進化させることで、中小企業も大企業に匹敵する競争力を手に入れることが可能です。
失敗を恐れず、挑戦を続ける姿勢が、中小企業の未来を輝かせる源です。
未来への期待と共に
中小企業経営者の皆さん、イノベーションの旅に踏み出すことで、新たな可能性や成長の機会が広がります。未来に向けての挑戦を共に支え、お互いに学び合いながら、中小企業が日本経済の発展に貢献する姿を期待しています。
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