パクリが本家より売れる。ビジネスアイデアの価値が低下する時代
たしかに内容は少し違うけど、タイトルや構成が私の講座にソックリ。
ゆるせない!
どうすればパクリを防止できるんでしょうか?
ビジネスでついて回る「パクリ問題」。
パクられたと感じる者にとっては、愉快な話ではありませんね。
これは経営学でも取り上げられるテーマなので、考えてみましょう。
- パクリのほうが本家より売れている例。
- アイデアのオリジナル性よりもビジネス上でだいじなこと。
- 起業アイデアそのものの価値は低下する理由。
- パクられない強みは、どうやって作るのか?
自治体(県や市)、商工会議所などの経営相談員やセミナー講師の委託も受けていますので、あるていど安心していただけるかと思います。
このページの内容
お客さんにとって、「オリジナルであること」にはどれだけ意味があることなのか?
この写真はワシが大好きな名古屋メシ「あんかけパスタ」です。
このお皿のお店は、「カレーハウスCOCO壱番屋」の系列が手掛ける「パスタデココ」です。
名古屋メシ「あんかけパスタ」の歴史は浅いのですが、すでに「元祖」以外にもたくさんのお店が生まれています。
そして大事なのは
「お客さんは必ずしも元祖にこだわって食べているわけではない」
という点です。
そのような、オリジナルだからと言って生き残れるわけではない、言い換えれば「ビジネスアイデアそのものの価値は相対的に低下していく時代」の生き残り方についての記事です。
オリジナルは偉い。しかしだからと言って売れるわけではない
これは、あんかけパスタに限った話ではありません。
回転寿司、いちご大福、あんぱんなど、「元祖」よりもビジネス的にうまくいっているお店があるのは事実ですね。
お客さんは、だまされているのでしょうか?
違いますね。
もちろん、オリジナルにこだわるお客さんもいることでしょう。
でも多くのお客さんは、どれがオリジナルの商品なのかをさほど気にしていない、ってことです。
法を犯したり、お客さんの視点から道徳的に見て「NG」の場合は、もちろん別です。
だけど一般的に「オリジナルのアイデア」は他者に磨かれて人気を得て行く場合も多いものです。
だとすると
オリジナルの価値とは「それを生み出したこと」だけであって、それによって必ずしもビジネス的な成功が約束されているわけではない、ってことになりますね。
オリジナルでも潰れてしまっては意味がない
もちろん、生み出したことの価値は大きいですよ。
称えられるべきですよ。
だけど
「大いに称えられましたが、お店は潰れました」
では、ビジネス的に意味がありませんよね。
アイデアは大事です。
だけど「アイデアを持ち続けているだけ」でも「オリジナルを大声で主張するだけ」でも、ビジネスが発展するわけではありません。
そんな「アイデアで勝負」をしたい人は、どうすればいいのでしょうか。
オリジナルがパクリに勝つとは限らない
ネットでも炎上したので、ご存知の方も多いと思います。
2019年1月に東京の表参道にオープンした瓶入りティラミス専門店の「ヒーローズ」。
当初は人気だったようですが、実はこのお店、シンガポールにあるお店「ティラミスヒーロー」のパクリ疑惑が話題に上がったのです。
お店の名称だけではなく、商品アイデア、手書き風のネコのキャラクターなどソックリです。
オリジナルのほうが「ヒーロー」という名前を使えなくなる事態も出てきました。
日本国内の法的には「パクったほう」が正当だったからです。
ここでネットが大炎上。
ちょっと前であれば、遠い外国のお店を日本でパクっても、気がつかない人がほとんどだったでしょう。
でも今は「拡散の時代」。
オリジナルとの比較写真も多く公開され、オリジナルのことを知らない人までもが
「パクリだよね」
という認識が広まりました。
結局、パクったほうがロゴの使用権をオリジナルに「お渡しする」ということで決着したようです。
ヤレヤレという結末ですが、オリジナルのファンとしては納得はいきませんよね。
さて、ここで言いたいのは
「パクられても最後にはオリジナルが勝つ」
なんていう理想主義的なお話しではありません。
よいアイデアほどパクられる
一般的には知られていないだけで
「パクったほうが圧勝、パクられたほうが撤退」
なんてケースはザラにあります。
中小企業から大手企業に至るまで
「パクった、パクられた」
という例はたくさんあるのです。
たとえば、料理やお菓子の「レシピ」には、著作権がありません。
最初にご紹介したように、名古屋には「あんかけパスタ」という庶民的な「ご当地グルメ」があります。
この「発祥のお店」に関しては、ご多分に漏れず、論争が続いているようです。
いまや定番の和菓子「いちご大福」も同様です。
最初に考え付いた人よりも、ビジネスを上手に展開したほうが大きく発展しているのです。
いくら「私がオリジナルだ!」と主張しても、後からマネシした人のほうが商売をうまくやっている例はたくさんあります。
回転寿司とかね。
だとすると「最初に思いついたのに!」という主張は、ビジネス的にさほど価値がない、ということになってしまいますね。
もちろん、気持ちはわかりますよ。
その後の地域の食文化への貢献を考えると、称えられてしかるべきです。
だけど
「称えられたけどお店は潰れました」
では、意味がありませんよね。
秘密にしても意味がない
各地の創業系のセミナーで講師をすると、「事業アイデア」を隠そうとしたり、何年もかけて準備をしようとする人がたくさんいます。
だけど、これってもったいないことです。
いくら独創性のあるアイデアであっても
「これまで世の中でコレを思いついたのは自分だけ」
というアイデアは、ほとんどないはずです。
他にも思いついた人はいると思っていいでしょう。
だとしたら「早くはじめて経験と工夫を積んだほうが勝ち」ということです。
パクリを完全に阻止することはできません。
「模倣」は経営戦略のひとつ
さらにいうと法に触れないかぎり、「模倣(パクリ)」は、経営学の中でも「戦略のひとつ」と考えられているのです。
大手企業は、小さな会社が「よいアイデアの商品」を発売したら、すぐにマネせよ
と書いてあるのです。
大手企業は、よく似たアイデアの商品を、より安く、より大量に売ることができますからね。
もちろん、法に触れないように巧妙に行います。
あなたも、
「あのビジネスやあの商品ってパクリじゃん」
って思うこと、よくありますよね?
あれも「教科書どおり」なのです。
よいアイデアであればあるほど、パクられます。
だとしたら、はやく圧倒的な存在になるほか、ないんです。
先に経験を積んで工夫を重ねたほうが圧倒的になる
ワシのこれまでのコンサルクライアントさんの中にも、独創的なサービスでビジネスを伸ばした人が何人もいます。
そういった方々のビジネスは、伸び始めたとたんに「パクリ」が発生しています。
でもこれって、阻止しようがありません。
中には「パクった人と戦う」人もいます。
経営者なら「闘うコスト」を考えて
「どれだけあからさまなパクリか」にもよりますが、闘うために費やすコストを考えてください。
「費やすコスト」よりも「戦った時に得られる利得」が多い場合のみ、闘うという選択をするべきです。
先のティラミスの件は、かなり「あからさま」だったことと、お客さんが立ち上がってくれたことによって、オリジナルが名称を取り戻すことができました。
もしオリジナルが名称を取り戻すことができなかったとしても、オリジナルのファンのお客さんたちは、名称変更した「ティラミススター」の支持を続けたと思います。
つまりこの事例では、オリジナルが復権できたのは「オリジナルだったから」ではなくて「お客さんが味方になってくれたから」ということです。
「大事なのは自分のアイデアよりもお客さん」
ということがよくわかる事例だと思います。
「オリジナルであること」よりもスピード感を持って乗り出し、早く一定のお客さんの支持を得ることが大事な時代になってきましたね。
パクられないようにする方法ってあるの?
「パクられないようにする」には、「パクリの防止策を設ける」のではなくて
「パクれないようにする」「パクろうという気さえ起きないようにする」
のがいちばんです。
でもそんなことって、スモールビジネスでもできるのでしょうか?
そんな内容については、こちらに書いてあります。
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