いろんなアドバイスを聞いて混乱している人へ
経営者に限らず、自分のビジネスがうまくいかないと、いろんな人の話しを聞いてみたくなりますね。
そのこと自体は、いいことだと思います。
でも、創業したての人は、いろんな人のアドバイスを聞きすぎて、混乱している人も多いです。
たくさんアドバイスを聞きすぎて、かえって動けなくなっている人も多いのです。
今日は、そんな人に向けて「アドバイスの聴き方」について、ワシの考えをお伝えします。
このページの内容
失敗は無視されて成功体験だけが語られる「生存者バイアス」
多くの人は「失敗した人」ではなくて「成功した(ように見える)人」からお話しを聞こうとしますよね。
成功した人の話は、話し全てが「成功につながっている要因」に見えることがあります。
これが「生存者バイアス」です。
圧倒的多数であるはずの「失敗した人」のお話しを聞く機会は少ないため、成功した人の話だけが真実のような気がしてしまうのです。
「成功した人の失敗談」は結局「最終的な成功」に結び付いていることが多いため、失敗が失敗として語られる機会は思ったほど多くないのです。
これは、話している本人にもわかりません。
もちろん、アドバイスをしてくれる人は善意で、正しいと思って親切にアドバイスしてくれるのですから、このことは責められることではありません。
でもよく
「ウチの会社は朝に全社員でトイレ掃除をしているから結束が強いんだ」
だとか
「シリコンバレーの社長の〇%は朝5時に起きているから、成功するには早起きだ」
という情報が流れます。
でもトイレ掃除をしていても失敗する企業も、朝早く起きていてもうまくいかない人もいるわけで、そういった人たちの情報は見えなくなってしまうんですね。
「本当にうまくいった要因」ではなくて「話し手がうまくいった要因だと思っていること」を聞いているのだという自覚が大事です。
このようなバイアスは、ワシのようなコンサルタントのような立場でも完全に排除することはできません。
「私の話にはバイアスがかかっていません」という人がいたら、かえって疑わしいと思うべきです。
人は自分が有利な方法をすすめたがる「ポジショントーク」
こちらも、実際によく目の当たりにする現象です。
売上が上がらなくて困っています。どうすればいいでしょう?
と相談したとき、相談した相手が「チラシ作り」を業務としている人だった場合には、
「そりゃチラシ作ったほうがいいですよ!」
って応えますよね。
同じようにホームページ作りが業務の人だったら、「まずはホームページでしょ」って勧めると思いませんか。
相談された相手の立場になって考えてみたら、目の前に見込み客(あなた)がいるわけですから、営業活動するほうが自然です。
これは、相手が「業務としている」場合に限りません。
ホームページに詳しい人は、ホームページを。
チラシでうまくいった経験がある人はチラシを。
タウン誌広告でうまくいった人はタウン誌広告を。
といったように「自分の成功体験や得意なことをベースに」お話しするものです。
これは意図的に自分の利益に誘導するような場合もありますし、本人も無意識のうちに、本当にあなたのためになると思い込んで、アドバイスをしてしまうこともあります。
知っているだけであるていどの混乱は避けられる
このように
「生存者バイアスによって、人は判断を誤りがちである」だとか、
「自分の得意分野やメリットのある方向性に話が偏りがちである」
といったことを知っているだけで、「人の話の聞き方」も変わってくると思います。
人は、あることについて知らなければ知らないほど、他の誰かの情報を鵜呑みにしやすくなります。
また、不安や恐怖が大きければ大きいほど、何かにすがろうとする気持ちが強くなるため、自信を持ってアドバイスしてくれる人の話に頼りたくなるものです。
こういった事を知っているだけで、「人の話しを聞くときの姿勢」は、かなり落ち着いたモノになるはずです。
アドバイスで混乱しがちな人の特徴
ここまでのように、アドバイスをくれる人の多くは「善意」です。
「よかれと思って」アドバイスしてくれるのです。
だけど、多くの人はあなたの方針や基本的な考えを100%理解した上でアドバイスをしてくれるわけではありません。
(「理解しているつもりの人」はいると思いますが)
大事なのは「あなたの基本的な方針」です。
事業に対して、どれだけ執着心があって、どれだけ「苦労してでもうまくいきたい」という思いがあるのか。
自分の事業は、どのようなタイプの事業で、どのようなタイプの事業ではないのか。
そういった「自分自身と、自分の事業に対する理解」が徹底していないと、人の意見に振り回されるのです。
そう考えると、「手法」について人に相談するよりもまずは「方針」を固めたほうがいいですね。
その際にも、誰かに「自分自身の方針について相談する」という場合には、先の「アドバイスする人の傾向」を知っておいたほうがよいですよ。
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