個人事業のビジネスモデル。スキルや知識をどうやってお金に換えるのか
ビジネスモデルとは、「どのようにしてお金(収益)を生み出すのか」という、ビジネスそのものを成り立たせる仕組みのことです。
個人事業で独立する場合、「どのようなビジネスモデルを選択するか」が、「儲かりやすさ」に大きく影響します。
- 個人事業こそビジネスモデルの選択が大事な理由
- 個人事業に向いたビジネスモデルは何か
- 個人事業のビジネスモデルの中で、大変なのに儲かりにくいものは
- やりたいことや好きなことで起業した人がなかなか儲からないのはナゼか
個人事業から最大スタッフ10人程度までのスモールビジネス専門のコンサルタントです。
自治体(県や市)、商工会議所などの経営相談員やセミナー講師も務めています。
このページの内容
ビジネスモデルとは
ビジネスモデルとは、簡単に言えば「お金を儲ける仕組み」です。
- ビジネスアイデアは文字通りアイデア段階で、「こんなことを商売にしたら儲かるのではないか」という発想に近いものです。
- 一方でビジネスモデルは「何を誰に提供すれば、この人からお金をもらえるでしょ」という、サービスやお金の流れを矛盾やムリのない状態で説明できる状態だと言えます。
ビジネスモデルには、一般的にひろく活用している人がいるメジャーなものがある一方で、業界特有の特殊なビジネスモデルもあります。
また、個人事業でも作れるビジネスモデルと、大資本でないと不可能なビジネスモデルがあります。
個人事業でもできる一般的なビジネスモデルの例
- メーカーや仕入れた商品をネットで販売する「ネット通販」というビジネスモデル。
- 自分でつくったお菓子を自分で店頭販売する「食品製造小売」というビジネスモデル。
- 自分の専門技能や知識を提供することで対価をもらう「フリーランス」というビジネスモデル。
- 自分でつくったコンピュータシステムを使わせてあげることで対価をもらうSaaSというビジネスモデル。
- 労働力を提供して時間単位の対価をもらう「パートタイム、アルバイト」というビジネスモデル。
大資本でないと難しいビジネスモデルの例
- 発電所や鉄道網などの巨大設備を利用してもらうことで対価をもらう「装置業」というビジネスモデル。
- お金を貸すことで利息という形の対価をもらう「金融業」というビジネスモデル。
- 大規模な宅地造成やリゾート開発などの開発で分譲や利用料という対価をもらう「不動産ディベロッパー」というビジネスモデル。
同じように見えるけど異なるビジネスモデル
間違いやすいですが、そういう意味ではありません。
たとえば「セミナー講師」という仕事を見てみると、「お金のもらいかた、お金の出どころ」によって複数のビジネスモデルが存在します。
- 自分で受講者を集客し、講師が受講者から直接お金を受け取る「自主開催セミナー」
- 主催者が企画、開催し、講師は主催者から講師料を受け取る「招聘セミナー」
- 講師派遣業者からの依頼によって、主催者の元で講師をおこない、講師派遣業者から講師料を受け取る「派遣セミナー」
このように「誰に何を提供して、誰からお金をいただくか」というサービスやお金の流れが異なると「ビジネスモデルが違う」と言えます。
ビジネスモデルは「誰に、何を、どうやって提供して、誰からどのような形でお金をもらうか」の組み合わせだということができます。
個人事業のビジネスモデル
個人事業の場合、シンプルなビジネスモデルを選ぶ人が多いです。
個人事業が考えておきたい、ビジネスモデルの3つの要素
個人事業のばあい原則として「稼ぎ手」が自分のみ、という大きな制約があります。
このことを考えたとき、とても大事な要素として
仕事の大変さと、リスクと、どれだけ大きなお金になるかという「伸び代」の関係
があります。
- 仕事の大変さ(費やす時間と労力)
- リスク(失うかもしれない時間やお金)
- どれだけ大きなお金になるか(期待値)
これは「最初にどのようなビジネスモデルを選択するか」によって、ある程度決まります。
当然の話ですが
よりも
を選びたいですよね。
個人事業が選んではいけないビジネスモデル
個人事業では「大変なのに大した儲けにならないビジネスモデル」を選ばないことが重要です。
もちろんそれが「自分がやりたいこと」なのであれば、大して儲けにならないことがわかっていても、やってみたほうがよいかもしれません。
でもそのような考えで個人事業をはじめた人でさえ、「儲からない現実」に打ちのめされて、やめてしまう人が多いんですよね。
やってみて初めてわかる「ひとりで事業を営む大変さ」
ココで間違えていただきたくないのは「大変さ」の意味です。
ひとりビジネスを立ち上げて回していく以上、大変であることは変わりがありません。
- サクッと年収〇〇円
- 寝ているだけで月商〇万
個人事業のビジネスモデルで大事なのは「仕事が伸びていくことよって、大変さがどれだけ増えるのか」なのです。
「わりの悪いビジネス」を選ぶと、個人では「自分の大変さ」がすぐに限界に達してしまい、それ以上の「伸び代」がなくなってしまうのです。
個人事業は「ビジネスモデルを選ぶ」という発想を持つこと
「仕事の大変さと伸び代の関係」これが決まってしまう条件が「ビジネスモデル」(≒収益モデル)です。
ビジネスモデルとは「何を売るのか」というよりも「どのようにしてその商品やサービスをお金に換えるのか」という仕組みです。
この「仕組みの選択」によって、同じサービスを扱っていても、ビジネスの大変さやリスクの大きさ、ビジネスの伸び代が、大きく変わってくるのです。
個人事業でビジネスを営んでいる人の多くは「ビジネスモデル」をあまり意識していません。
個人事業のビジネスモデルは、何からできているのか
個人事業に限らず、ビジネスモデルを形づくる要素としては、大きく3つあります。
- お客さん
- 商品/サービス
- 商品やサービスの届け方
たとえば
という商売をする場合、
商品=手ごろな価格の出来立てのうどん
と決まっていますが「店舗を構えるのか、出前専門にするのか」によって「届け方」が大きく異なりますね。
個人事業のビジネスモデルは外見だけではわからない
SNSでは華やかに見える「あの人」は、本当に儲かっているのでしょうか?
同じようなビジネスをしている2人がいたとしても、
- ある人は、大変なわりにあまり儲かっていない
- ある人は、大して違いが無いように見えるけど、うまく儲けている
実態は、そのような差が出ています。
これは技量の差や質の差というよりも「ビジネスモデルが違う」というばあいが多いのです。
この場合、よく観察しないとその仕組みは見えてきません。
本人から直接お話しをお伺いしないと「仕組み」が見えてこない場合もあります。
同じスキル、同じ知識を「売り物」にした場合でも、ビジネスモデルの選択によって「儲かる可能性」が大きく変わってきます。
個人事業が選択できるビジネスモデルは限られる
たとえば、個人事業で「電力会社」だとか「鉄道会社」「ホテル事業」といったビジネスをはじめる人は、あまり聞いたことがありませんよね。
ってことは「個人事業が選択できるビジネスモデル」は限られる、ってことです。
その中でも「大変さ」「リスク」「伸び代」などで考えた場合、そんなに選択肢は多くありません。
多くの人が「自分がやりたいこと」をあこがれや理想を動機にしてビジネスをはじめます。
だけどほとんどの人は、そこに「ビジネスモデルの選択」という視点はありません。
「大変なのにぜんぜん儲からない」というばあい、ビジネスモデルが間違っている可能性が高いのです。
個人事業でも「勝てる可能性の高いビジネスモデル」とは
さて、大事なのはここからです。
この記事では「手元の資金が少ない個人が、個人事業で始める場合のビジネスモデル」を考えています。
このとき、ビジネスモデルを選択する際にだいじなのは、次の要素です。
個人事業でも儲かりやすいビジネスモデルの条件
- 小資金ではじめられる。
- 在庫を持たない。
- 利益率が高い。
- 定期的に一定額の売上が上がる。
- 強大な競合が存在しない。
- 売上が増加しても自分の大変さがあまり変わらない。
いま人気の「オンラインサロン」などは、これらの条件をほぼ満たしていて、個人事業に向いたビジネスモデルだと言えます。
たしかに、そんなに「おいしいビジネス」が存在していたら、すぐに競合(ライバル)が現れますからね。
さきほどの「個人事業でも儲かりやすいビジネスモデルの条件」は、ひとつの目安として覚えておくとイイですよ。
まとめ:個人事業は「やりたいこと」を「儲かるビジネスモデルで」展開する
スモールビジネスコンサルタントとしてこれまでワシが多く見ているのは
という、典型的な自己実現型のビジネスモデルです。
これ自体を否定するつもりはありません。
だけど「やりたいことで起業する人」の多くは、ビジネスモデルのことをほとんど無視して「大変なのに儲かりにくい形で」起業してしまう人が多いのです。
「やりたいこと」を維持したままで、どうすればここまで述べてきたようなビジネスモデルを構築するのか。
小さなビジネスはここの工夫「ビジネスモデルの構築」に徹底的に知恵を絞るべきなのです。
おまけ:個人事業こそオンラインビジネスを構築しよう
オンラインサロンなどの「オンラインビジネス」が個人事業のビジネスモデルとして注目されているのは、ここまでに述べてきたような
小資本、低リスク、大変さ
といった条件を満たしているからです。
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