サブスクビジネスの作り方【低予算で安定売上をつくるコツ】
中小企業や個人事業でもサブスクビジネスを立ち上げることができます。
この記事では、サブスクビジネスのメリットや、サブスクビジネスのアイデアの見つけ方、立ち上げや継続していくコツについてお伝えします。
- サブスクビジネスの特徴とメリット
- 小さくサブスクビジネスを立ち上げるコツ
- サブスクビジネスの運営のコツ
個人事業から最大スタッフ10人程度までのスモールビジネス専門のコンサルタントです。
自治体(県や市)、商工会議所などの経営相談員やセミナー講師も務めています。
ワシ自身、経営者向けオンライン勉強会というサブスクビジネスを4年間継続しています。
このページの内容
サブスクビジネスとは
サブスクビジネスとは、サブスク(定額制)で利用するサービスによるビジネスモデルのことを指します。
サブスクとは「Subscribe(サブスクライブ/購読する)」の名詞形「Subscription(サブスクリプション/購読)」を日本式に省略した言葉です。
もともとは雑誌や新聞の「定期購読」から発生した言葉です。
現在では定額でお金を払って利用するサービス全般のことを指します。
多くのサブスクビジネスは「月々定額」を支払って利用しています。
サブスクビジネスは、起業家や中小企業など「手元資金がないけど新規事業を立ち上げたい」という人たちに注目されています。
いま多くの人が利用している「サブスクビジネス」には以下のようなものがあります。
旧来から存在したサブスクビジネス
「月々定額」で利用するサービスがサブスクなのですから、この方法は旧来から存在したことがわかります。
- 雑誌や新聞の定期購入
- お稽古ごと、教室、学習塾
- フィットネスクラブの会費
- 家賃、月極駐車場
- NHKの受信料
- 牛乳やお弁当などの定期宅配
一方で、現在注目されているサブスクビジネスには以下のようなものがあります。
- 音楽、映画、マンガ、書籍、動画などのコンテンツサービス
- オンラインサロンなどのコミュニティ
- ファッションや家具など「以前は買っていたもの」の定額利用サービス
市場が拡大しているサブスクビジネスの現状
矢野経済研究所の調査によると、国内の消費者向けサブスクサービス市場規模は、年々増加しています。
2021年度のサブスクビジネスの市場は9,615億5,000万円でした。
これは前年度に比べて10.6%も増えています。
この調査では「消費者向け市場(B2C市場)」だけのデータが公表されているため、「事業者向け市場(B2B市場)」を加えると、その2倍以上になることが想像できます。
サブスクビジネスのメリットとデメリット
「非サブスク」と比べた場合の、サブスクビジネスのメリットとデメリットを見比べることによって、サブスクビジネスの特徴が見えてきます。
サービス利用者にとってのサブスクのメリットとデメリット
メリット
- 初期費用が安いので導入しやすい
- 継続利用しやすい
- 所有する必要がない、モノが増えない
- やめたいときにやめられる
- つねに新しいサービスや情報が得られる
- 利用者同士のコミュニティに参加できる
- 定期的な更新や購入の手間が省ける
- 固定化による予算化ができる
デメリット
- 利用していないときも費用が発生する
- 解約後に手元に残らない、所有できない
- 長期化すると購入の方が得になることもある
- 旧バージョンや旧コンテンツが利用できない
- 固定費化による費用増
そうなんです。
「所有しなくてよい」という身軽さのメリットはは、裏返すと「手元に残らない」というデメリットになりますね。
サービス提供者にとってのサブスクのメリットとデメリット
メリット
- 継続的/安定的な売上の確保
- 顧客獲得が容易になる
- 参入障壁/撤退障壁が低い
デメリット
- サービス開始時の利用者の確保と収益の確保が困難
- 継続的なコンテンツを提供するコスト
- 導入初期のリソースやコンテンツの準備(初期費用)
たとえば、購入すると10万円のソフトウェアを「毎月5,000円」のサブスク化した場合のことを考えてみてください。
10万円だと「買って使わなかった場合」のことを考えて、購入をためらいますが、「月5,000円」だと
と考えるので、気軽に使いはじめられますよね。
この「初期導入の気軽さ」があるため「新規顧客の獲得が容易になるわけです。
なぜ今サブスクビジネスが注目されているのか
今またサブスクが注目されている理由は、圧倒的なITの進化にあります。
たとえば
というビジネスフローを考えてみてください。
- 紙の雑誌を発行する手間とコスト
- 配送する手間とコスト
- クレジットカード会社の審査
といったハードルがあり、個人や「小さな会社」がサブスクを導入するには壁が存在していました。
でも今はITの発達によって、こういったことがパソコン1台でカンタンにできるようになりました。
- Webやメール、動画を通じてのコンテンツの配信
- オンラインを通じてほぼコスト無料での配信
- 個人でも決済サービスを通じて「クレジットカードによる支払受付」が可能に
一見すると「旧来型サブスク」と同じように見える「宅配型サブスク」「習い事系サブスク」などでも、オンライン講習システムなどの進化によって、以前よりもはるかに参入しやすくなっています。
ITの進歩によって手元資金の少ない起業家や小規模事業者にも参入しやすくなったことによって、今あらためてサブスクビジネスが注目されているわけです。
再度サブスクが注目されたきっかけ
デザイナーやクリエイターに人気のソフトウェアを提供しているアドビ社が、それまで「パッケージ買い切り型」だったソフトウェアを2013年から「月額利用制のみ」に転換しました。
これをきっかけに、多くのソフトウェア企業が「パッケージ売り」から「月額制」に切り替えたことが、現在あらためて「サブスク」に注目が集まったひとつの原因です。
ほかにも音楽や動画などオンライン上のサービスの多くがサブスクだったこと、「サブスク」という名称が日本にも普及した点が大きいです。
日本では2019年の後半ごろから2020年初頭(コロナで緊急事態宣言が出される直前あたり)から「サブスク」という単語のGoogle検索が増えています。
このことから日本では2019年ごろから「サブスク」というキーワードに注目が集まってきたことがわかります。
うまく行くサブスクビジネスの特徴
旧来から今も存在しているサブスクや、失敗事例を観察することによって、サブスクビジネスの成功要因が見えてきます。
継続的な価値の提供
サブスクの成功要因は「お金が払うだけの価値があると感じてもらえるか」と「どれだけ飽きられずに続けてもらえるか」のふたつです。
ただ同じことをくりかえしているだけでは、お客さんは早く飽きてしまいます。
定期的に「目新しさ」だとか「達成感」を提供することで、お客さんが継続してくれる期間を延ばすことが課題です。
顧客獲得と維持
とくにサブスクビジネスの導入初期は「初期利用者の獲得」が課題になります。
既存事業のお客さんからサブスク利用を促したり、お客さんに情報発信や告知の協力をしてもらうなど、積極的なお客さんの関与を高められるかがカギになります。
収益性の計画
サブスクサービスを魅力的に見せるために、収益性を軽視した「大盤振る舞い」なサービス内容を設定してしまいがちです。
魅力的に見える一方で収益が確保できるサービスの設定が必要です。
頭を悩ませるところでもあります。
利用者の声の吸い上げとサービス改善
サブスクビジネスのメリットは、なんといっても利用者と定期的に接触できる機会があることです。
このメリットを最大限に生かして、サービスの改善をくりかえすことによって、利用者の定着率を高めることができます。
差別化、競争優位性の確保
参入しやすいビジネスは同時に、競合も多くなるということです。
ここまでの取り組みをくりかえして「他とは違う、他にはない、他よりもメリットがある」という状態を持続する必要があります。
失敗したサブスクビジネスの事例と失敗の原因
撤退したサブスクビジネスからは「失敗する原因」をさぐることができます。
これらも、ビジネスモデルの改造によって「儲かるビジネス」に生まれ変われる可能性もあります。一概に「このビジネスはダメ」というわけではありません。
収益性の見込みの問題/飲食店の食べ放題サブスク
「〇分食べ放題」ではなく「1か月間なんど来てもどれだけ食べても定額」というサービスを導入した飲食店の事例は多いですが、多くが撤退しています。
原因は「想定以上に繰り返し利用するお客さんが多かったから」です。
とくに来店型の飲食店では、サブスク利用のお客さんが席を埋めてしまい、利幅の大きな通常利用のお客さんが満席で利用できない、というケースが発生すると、利益率が低下してしまいます。
また、このケースでは「既存事業とのカニバリゼーション(共食い)」が起きていると見ることができます。
新規事業のサブスクビジネスによって、既存事業の利益率が低下してしまわないか、チェックが必要です。
サービス設計の問題/ジュースのサブスク
JUICEROというアメリカの会社は「果物のジュースの宅配」というサブスクを実施しましたが、お客さんの確保に失敗しました。
最初に購入しなくてはいけないジューサーが700ドルと高価だったことや「そんなに毎日ジュース飲むわけじゃないよね」という解約が相次いだためです。
日本でも以前はよく見られた「牛乳の宅配」もコンビニの普及や「牛乳を毎日飲む」という習慣の変化によって市場が小さくなっていますね。
失敗したサブスクビジネスの事例の多くは「そもそもニーズがなかった」だとか「サービスの設計の問題」などの根本的な問題が原因であることが多いです。
サブスクビジネスのアイデアをさがす
それは、現在あなたが置かれている状況によって異なります。
いちばん確実性が高く、早く収益化に結び付きやすいのは「既存事業のサブスク化」です。
既存事業からサブスクビジネス化のアイデア例
- 生花小売り → お花の定期お届け(店舗やホテル向け)
- 書籍小売り/古書 → 毎月店長チョイスによる新作推理小説お届け
- クリーニング → 工場の作業着や飲食店のテーブルクロスのクリーニングの定額制サービス
- 店舗コンサル → 季節ごとの展示内容きりかえサービス
- HP制作 → SEO月次レポート
- 産業カウンセラー → 月次現場スタッフメンタルケア
既存事業からサブスクビジネス化する場合のポイント
単に「既存事業をサブスク化すれば儲かる」というわけではありません。
以下のような注意点をチェックしておきましょう。
既存事業とのカニバリゼーション(共食い)の有無のチェック
既存事業をサブスク化する場合には、さきほどの「飲食店のサブスクの失敗事例」のように「既存事業とのカニバリゼーション(共食い)がないか」はチェックしておく必要があります。
明確なメニュー化
「定期的なご依頼もあれば受け付ける」という受け身的なサービス設定ではなく、具体的なサービス名や価格設定をホームページやパンフレットに明示して「明確なメニュー化」をすることによって、お客さんにあなたのサブスクビジネスを認知してもらえるようになります。
サブスクビジネスを導入する場合の課金システム
サブスクビジネスを導入する場合にはクレジットカードを使った継続課金が必須です。
ほんの数年前までは、個人事業者がカード決済を導入するは不可能に近かったのですが、今は「決済代行サービス」の登場により、個人事業でも比較的簡単に「クレジットカードによる定期支払の受付」ができるようになりました。
課金システム
- SQUARE、STRIPE、PayPalなどの課金システムは、様々な支払方法に対応しています。
- 個人でも、アカウントを作ればすぐに支払いを受け付けることができます。
- 料金回収のためにかかるコストはもっとも安く済みます。
- 多機能であることとシステム特有の単語が多く登場するため、慣れないと使いこなすのが難しく感じるかもしれません。
ショッピングカートシステム
- STORES、BASEなどの「ネットショップシステム」を使って定期課金をすることができます。
- これらの仕組みは「小売り」を前提としているため、物品の配送が発生しない場合には特別な手続きが必要になったり、審査に通らなかったりすることがあります。
- すでにネットショップを持っていて「物品の定期配送型サブスク」を導入する場合には向いています。
サブスクビジネスの集客
サブスクビジネスは「継続的な売上が期待できる点」がメリットであると言うだけで、決してほかのビジネスモデルに比べて集客がラクというわけではありません。
他のビジネスと同じように集客は重要ですし、もっとも労力やコストがかかる部分です。
既存事業のお客さんの利用を促す
既存事業と新規のサブスク事業のターゲット層が同一である場合には、まずはこの方法がオススメです。
初期利用者の確保として、この方法がもっともお客さんを集めやすいです。
ウラをかえせば「既存事業のお客さんにオススメしてみて集客できない」のであれば、サービス設計がそもそもニーズに合っていないのかもしれません。
利用者の声を活かす
初期利用者の方々から声を集めて、プロモーションや集客活動に活かします。
とくに「サブスクであることのメリット」についてお客さんの声を集めて「このように利用されています」ということをアピールしていきましょう。
Web集客の積極的な活用
ブログやSNSを積極的に活用していきます。
とくにオンライン経由でサブスク利用の申し込みを促したい場合には、集客もオンラインで行うのが理に適っています。
ブログを活用した集客については、こちらの記事がお役立てますよ。
まとめ:サブスクビジネスで成功するために
お客さんと定期的に接触できるから、高速でサービスの改善ができる点が、サブスクビジネスのメリットです。
スタートするのはカンタンです。
だいじなのは早く改善をくりかえして「売れ続ける体制」を作り上げることです。
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